『テキサスナイトランナーズ』 J・R・ランズデール

テキサス・ナイトランナーズ (文春文庫)

テキサス・ナイトランナーズ (文春文庫)

 文はうまいけどつまんねえな。
 やたら読みにくいんだけどなんかもってかれるな。
 
 どっちにしろあまり読みたくないがあえて選ぶなら後ろのほう。

 そしてこれは後ろのほう。読みにくいけどなんかある。

 著者の『ボトムズ』や”ハップ&レナード”シリーズを読んでる身からするとこの作品はとんでもなく拙い(ような気がする)。
 滑らかさがない。まあ滑らかさなんて普段読んでてそう感じることはなくてただつらつらひっかかりなく読み進めてしまうってことでそれを意識することはあまりないのだけど。
 でこれはちょっと酷くてもうかなりの悪路でしてそこらへんにボッコボコ穴が空いてるわけだ。
 これがなんらかの効果を狙ったものなのかどうかそんなことはオレは知らなくてとにかくはっきり云ってしまえばヘタクソだなあ、と。
 ただこうしてしっかり読んだ挙句感想まで書いてるあたり単なるヘタクソ小説ではなくてなにかチカラがあるなと思っているオレ。なにかとは”勢い”しかねえと断言するオレ。
 ボコボコして読みにくい小説ってのはリズムがとりにくくてノレないわけだ、普通は。でああもういいやってな具合に読書リストからエイエンに消去されてしまうのが常なのだが、これはちょっと違った。なんか憑いてんじゃねえかと思うほどに作家が言葉をこれでもかと吐き出していてボコボコの悪路をグングン進む車の後ろに縄で繋がれてバッタンバッタン跳ねながら引き摺られていってる感じ。そういう凄みがある(ような気がする)。