後悔。
 それはマイライフにはなくてはならない言葉である。
 先日観たテレビで、明石屋が「後悔っていうのは素敵なことなんやで」みたいなことを云っていて、それを云われた女性が感激したとかなんとかやっていたのだけど、はたしてそれを観た僕が感激したかというともちろんそんなことはなくて、それはその台詞の脈絡がわからない(瞬間的にしか観てない)からということもあるのだけど、もっと強い理由は他にあって、それは、「反省ならしたことあるけど後悔はない」と豪語する女を僕は知っているからだ。
 今ならそんな馬鹿な可愛こちゃんとさらり受け流すこともできるだろうが(できるだろうかほんとに)、その当時は衝撃を受けてしまった。そんな奴がいるなんて、なんて俺はちっぽけなんだ、と。「へえ」なんつってその場は返したものの、できることなら横向きに膝を抱えて寝転んでいじけてしまいたかった。できたけどできなかった。ちなみにその娘のことがちょっと好きだった。
 で何の話かというとそれは額の話に繋がる。
 恐ろしく若かりし頃、僕はリーゼントに憧れて額にソリコミを入れてしまった恐ろしい馬鹿者であった。それがさっぱり似合わないということに気付いたのはもちろん予定外に深くソリこんでしまった後だった。後悔。その後、その部分の髪はいくらかは生えてきたのだがいくらかは生えてこず、不均一な額になってしまった。それでも当時は髪も長かったし、それ以降もずっと長いままだったので目立つようなこともなく気にもしていなかったのだが、ここ数年は短い。額も顕わである。で気のせいだといいのだけど年々ソリの部分がMaxの状態に近づきつつあるような。あと数年もすれば立派な鬼ゾリになっているのではないかという危惧。丸くいっておれば「禿げなんです」とも云えようが(それも御免だが)鋭角じゃないのこれ。数年後にソリコミが流行する可能性は少ないだろう。いやだ。いい齢こいてつっぱり風味なんて無理だ。つっぱりなんて言葉はもう彼方だし。
 ここで反省すると、そうかもうソリコミなんて馬鹿な真似は二度としないぞ、ということになるのだろうか。当たり前だろうがこの野郎。これを後悔と云わず死てなんというのか。