ハードロマンチッカー 

 グ スーヨン「ハードロマンチッカー」。

 このグ スーヨンって人なんでも多才というかいろいろやっている人らしくて、はてなのキーワードを見てみるとわかるけど、もともとCMディレクターで映画監督やら作詞やらもやってるんだって。

なんかは憶えてる。ははあこの人だったのか。

 それにしてもこの本は面白かった。
 下関に住む在日韓国人二世グー君のお話なんだけど、これがまたすさまじい。グー君という主人公の名前から当然著者の体験を元にかかれているのかなと思ってしまうのだけど、ほんとかよ、ってくらいすさまじい。喧嘩、暴走族、ヤクザ、ヤクザみたいな警察、カツアゲ、シンナー、マリファナ、シャブ、放火、殺人、事故、病気、セックス、3P.鉄パイプ、包丁、レイプ、売春。なんでもござれだ。そういった要素が、俺の周りは馬鹿ばっかりだという、俺は違うんだコイツラとはという主人公の倦怠感漂う目線で過剰に煽られることもなくつらつらと語られる。長ったらしい説明やまわりくどい比喩なんかで感情を表すようなことはなくて、ただただ淡白に話は流れていく。そういうのってなるほどCMディレクターっぽいような映像的な感じがする。別に説明とかしなくても観りゃ(読みゃ)わかんだろ、充分面白いでしょ、みたいなほったらかし感がたまらない。現実には説明なんてだーれもしてくんないもんね。

 ハードロマンチッカー