奇想とユーモアとペーソス

ふたりジャネット (奇想コレクション)
テリー・ビッスン「ふたりジャネット」を半分ほど読んだ。
アメリカSF界屈指の技巧派で、短編の名手。ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞を受賞している。とのこと。ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞も僕にしてみればまるでなんのことなのかわからないが、なにやらすごそうではある。で読むことになったわけだけど、おおー、これは正直微妙である。いろいろ受賞している「熊が火を発見する」からして、よくわからない。SFとはこういうものなのだろうか。面白いようで面白くない。面白くないようで面白い気もする。微妙と云ったのはそういうことである。きっぱりと断言できない。わからない、というのが正しい。半分ほど読んでやっと慣れてきたというか、この著者の文章を読む上での心構えのようなものができてきたところだが、それでも何か、この小説を楽しむために決定的に足りないものが僕にはあるような気がする。ローカルというのではないが、まあそんなような僕の知らない共通了解があって、それがフックになっているんじゃないかと勘繰っている。そういう内輪ネタというのは多かれ少なかれ他の小説にもあるものだと思うが、この作品が短編集であり、それ故に物語の起伏が少ない、ということを考えると、そのネタがわからないのはつらい。解説に、奇想とユーモアとペーソスに満ちた作品、とあるが、そういうのって、細かいネタが決め手だったりするんじゃないか。