『チルドレン』 伊坂幸太郎

 直木賞だかなんだかの候補にもなった一作を含む短編集。というつもりで読んだんだけど、確かに短編集なんだけど、どれも繋がっているねえ。
 相変わらず軽い文章を描いている。言葉とか展開とかはやっぱり気が利いているのだけどさらさら軽い。読後ドッとくるものがない。モヤッとしたものもない。黒っぽいものが残らない。ラストは必ず淡い色。
 そのぶんひどく読みやすくて面白いんだけど物足りないっつーかなんなんでしょう。
 寒天をそのまま食ってるような蛸の刺身をそのまま食ってるようなせめて醤油とわさびが欲しいようなそんな何か。
 森博嗣の尖った部分をすべて丸めていったような何か。に近い何か。

 まあなんだかんだいって好きなんだけども。

 チルドレン