『天才マックスの世界』

 監督:ウェス・アンダーソン

 中原昌也の『エーガ界に捧ぐ』(たぶん)でえらい賞賛されていたので観た。『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の監督ということでそこそこ期待できたわけだが、これ、近所の中途半端なレンタルビデオ屋には置いてない。ということでわざわざ三軒茶屋のツタヤまでいって借りてきた。しかしパッケージといいタイトルといいなんとも伸ばした手を引っ込めたくなる代物なのだけど、そんなものが5本以上在庫としてある三茶のツタヤはすごいね。それにしてもチープなパッケージだ。いつの時代のものかと思ったけどそんなに古いものではないみたいだし、なにかを狙っているんだろうか。

 内容。15歳の少年マックスが主人公。邦題として『天才マックスの世界』となっているが、果たしてマックスが天才なのかどうかは不明である。よくわからない。が、ある種の才能は持っているようで、とにかくあらゆる部活動に参加している。フェンシング、演劇、ゴーカート、あとまだまだいっぱいあるんだけどあり過ぎて憶えていない。養蜂部というのにも入っている。入っているというか、半分くらいはマックスが創設者なんだけど。で状況として、彼は部活動に熱中するあまり落第しそうになっている。
 このマックス君。僕にはどう観ても危ない奴にしか思えない。人の目を気にしないというのはなにか堂々として男前な態度とも受け取れるが、一歩間違えると奇人になってしまう。マックスはそんな感じだ。そして躊躇なく行動する。そこも危ない。その割に見栄っ張りというか嘘をついたりしていてますますよくわからなくて怪しい。中学の同級生のことを思い出してしまう。彼もそんな風に危険視されている男だった。彼は修学旅行でみんなの前で突然オナニーをするという離れ技をやってのけたという。彼はいじめられっ子だった。マックスはいじめられっ子ではない。黒ぶちメガネに妙にカチッとした服装といじめられっ子王道のルックスだがいじめられっ子ではない。がたいのいい同級生に絡まれる、そして、殴られるがいじめられっ子ではない。
 マックスは恋をする。相手は同校に新しく赴任してきた女性教師。なんとか彼女をものにしようと親友であるビル・マーレー(同級生の父親)の助けを借りてとんでもないことを計画する。がビル・マーレーも彼女に恋してしまう。続く。

 続きは借りるなりなんなりしてご覧あれ。ほんとに面白いので。
 出だしから洒落ててまず期待させるし、その後もセンスがいい。特にマックスがミツバチの箱をぶら下げてエレベーターから降りてくるシーンなんか秀逸でしびれた。お前は殺し屋かと。
 うーん。いいなあ。すごくいい。

 これは感動の青春映画ですよ。

天才マックスの世界 [DVD]