ヒーローと仏様はどっちがすごいのか

今期のテレビドラマについて。
白い巨塔」「砂の器」「プライド」「僕と彼女と彼女の生きる道」をわりと楽しく観ている。
なかでも注目なのが木村拓哉主演の「プライド」と草磲剛主演の「僕と彼女と彼女の生きる道」だ。
「プライド」は、一話を観た限りでは、多くの人がそう感じたように、なんてくそみたいなもん作りやがったんだ、と思ったわけだが、二話三話と観ているうちに馴染んでくるのがあら不思議。といっても不思議でもなんでもなくて、こういう類の筋はちょっと昔のアメリカ青春映画でよく見られたものなんであって、話自体は見慣れたものだったのである。ただ違和感を感じるのは、そのちょっと前のアメリカ青春ストーリがなぜか日本が舞台で日本人によって行われているということだ。今作の彼のフレーズに「メイビー?」「古き良き時代の人」というものがあるが、一つは多分英語だし、一つが指し示す”時代”とは多分日本じゃないように感じる。日本人が演じるということで、少なからずリアリティを求めてしまうという傾向は僕以外の多くの人にも当てはまることだと思うが、これってフィクションなんだ、と当たり前のことを改めてインプットし、これって何処の国の話なんだろう、とやや無理があるが馬鹿になってみると、面白く観ることが出来ます。
また、この時代にあえてこういったものをぶつけてくるというチャレンジャー精神には頭が下がります。わかっててやってるんですよね制作陣は。
しかし木村拓哉はある種ヒーロー的なものしかオファーがこないのかしら。それともなにをやらしてもヒーローに見えてしまうだけなのか。いずれにしてもすごいポジションだ。
「僕と彼女と・・・」は、草磲が今作でもキレまくっている。数年前は、この男がなぜスマップにいるのか、いやなぜアイドルとして成立しているのか、と物議をかもしたものだが(失礼ながら僕も積極的にそう思っていた)、今や唯一無二の存在になっている。この間は谷選手が公開解脱したそうだが、草磲剛も解脱一歩前まできているんじゃないだろうか。それほどまでに僕を感服させてしまうのは彼のどう転んでいいのかわからない容姿も含めた雰囲気も無関係ではないだろうが、なんといってもその力の入れ加減抜き加減が最大の要因ではないだろうか。明鏡止水とはこのことか。彼には是非頑張ってもらって生き仏への道を歩んでもらいたい。
また”彼女”である小雪もなかなかいい。
モデル出身ということもあるのだろうが、ドラマ初出演の頃はどこのロボットかと思わせたものだが、ここ最近は作品にも恵まれたのか女優としての存在感をきっちり発揮している。
さらにもう一人の”彼女”である子役の女の子がとてつもなくかわいらしい。
このキャスト全てが総じてインパクトに欠けるドラマがなんとも云えない緊迫感を生み出していて、インパクト丸出しといった感じの「プライド」がまるで現実味がないというのと出来すぎだねというくらい対照的に映る。
出来すぎといえば、スマップ全員が何らかの形で今期のドラマと関わっているというのも出来すぎだなそう云えば(香取は「新撰組」。稲垣は「僕と彼女・・・」エンディングソングをソロで歌っている。これ初め聴いたときはスマップの新曲なのかと思ったらいつまでも稲垣の声しか聴こえてこないのでもしかして声の似た別人かとも思ったのだが、その特徴のある発声はどう考えても稲垣自身であり、どうなっているのやらと多少困惑したものの、やっぱり稲垣のソロであることが判明した次第。ちなみに歌唱力に難があるもののそこそこ好きな曲調であった)。