群像12月号掲載の現代小説・演習
【第一部】いーから皆密室本とかJDCとか書いてみろって。――愛媛川十三
【第二部】私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。――舞城王太郎
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第一部の、いーから皆密室本とかJDCとか書いてみろって。については読者としては面白い提案だと思う。ある縛りの中でいろんな作者が競い合うという状況には単純に興味がある。けどこっちにしたってそれほど量は読めないし、またそんなことをするような作家はほとんどいないんだろうね。いたとしても好きな作家じゃなきゃまず読まないし。彼は「文学」を「音楽」と比較して、「文学」ではなくて「文楽」にしたいというようなことを書いていたようだ(うろ覚え)。「文学」という偉そうな壁を取り払って「文楽」に。音楽における新人の量に対して文学の新人は少なすぎるのがいかんとも云っていた(うろ覚え)。これ云いたいことはわかるんだけど、音楽と比較するのはどうなんだろう。だって音楽ってカッコいいじゃないですか。で文学ってカッコいいのか。文学やってもモテないでしょ(僕は文学少女は好きだけど、いや別になんでもありなんですけど)。モテなきゃ若者はなびかないわなあ。っていつのまにか新人=若者になってしまったが、やっぱ足りないのは若手だと思うからこれでいいのだ。15歳の天才美少女作家デビューとかは難しいんだろうねえ。美少年もまた然り(15歳の男なんてただのクソガキだ。完全に主観だが)。テレビ主導のメディアでは文学に陽が当たることはちょっと考えられない。なかなかうまくいきそうもないですね舞城さん。まあ彼のバンバン書くぜ、という意気込みが感じられたのはファンとしては嬉しかった。
第二部の、私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。については、長編を書いてくださいという感想。短編だと物足りない。キレがないと感じる。