『CASSHERN』

を昨夜鑑賞。
24時間を経てその記憶もだいぶ薄れてきたので忘れないうちに記録しておこう(まあ、観終わったそばから、アレ、あいつはどうなったんだっけ。とかいう状態なんだが)。
巷間いろいろ云われているようで気にはなっていたんだけど、結果としては、面白い、という感想。
「CGで目がチカチカする」とか「テーマを台詞で語っていて云々」とか。どれほどのもんかと恐いもの観たさの期待をもっていたのだが、いや特にどうということもなかったなあ。そう云われればそうかもな、くらい。唐沢寿明あたりが延々演説しているのかと思ったらそんなこともないし。語りの多さとか直接さとかでいったら、あんな漫画やこんな小説なんかでもっとすごいのがいっぱいあるような気もするし、オレとしはそんなものを遥かに超えたトンデモナイ代物を想像していただけにちょっと残念ではある。こいつはひどい。やり過ぎだ。くらいは思わせて欲しかった。
それでも突っ込みどころというか気になる点は満載で(例えば、新造人間vs新造人間における、なにがどうなってるのかよくわからんが勢いはある戦闘シーンと、オレは戦隊ヒーローものでも観ているのかと錯覚しそうな鈍間な戦闘シーン。その落差はなんなんだ一体。とかね)それも含めて飽きない作品だった。
ただ監督が『サイゾー』のインタビューで云っていた「予算やらなんやらの都合上、勢いを優先した」とかいうのはそうであるかもしれないんだけど、それよりももっとこの人に足りなかったものは尺の長さなんじゃないかと。単作ではなくて連作とか、TVの連続アニメ的なものとか、そっち向きというかそっち向いてるよなあ、と。

CASSHERN [DVD]

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どっかで、この監督には尾崎豊みたいな熱さがある、というようなことを目にしたんだが、云いたいこととかやりたいこととか、そんなのがあり過ぎるんだろうな、という感じは確かに似ているように思う。この人の場合は、そのフィールドが映画であったが故なのかどうなのか、それを持て余しているようだけど。そこんところがこれだけ大々的な興行作品としては稀有で、世の中の数多の矛盾に抗い始め、夜中に一人バットで素振りしちゃうようなニキビ面の中学生に金を与えたら似たようなものが出来上がるんじゃないか、という素人臭を漂わせている。ような気がする。云いたいことだけはきっちり云うが細かいとこはまあうっちゃっとこうオラオラ。衝動丸出しのそんな青臭さを恥ずかしげもなくこんだけ堂々と突きつけられると、なんかよくわかんねえけどアイツすげえなあ、と圧倒されてしまう。ラストシーンなんか正直ええーっそれで終わらせるつもりなのかああっ!と脱力したが怒る気にならないというか、また次がんばればいいさと暖かく見守りたくなってしまう心境。
というわけで、きれいに纏め上げる(いろんな意味での)力を手にした途端凡庸なものしか作れなくなっちゃった、という作り手は少なからずいるんだろうが、次作に期待。