ペキンパー「砂漠の流れ者
「ワイルド・バンチ」のようなドンパチを予想していたが違った。冒頭のトカゲのアップは、「ワイルド・バンチ」の蠍を焼くシーンを思い起こさせ、これからどんな男どもの散り様を見せてくれるのかと期待するが、主人公のケーブル・ホーグはどうみても盛りの過ぎた爺さんだ。華々しい最期というのが似合いそうもない。で観てたらいきなり安い仲間に裏切られて砂漠を彷徨い死にそうになっている。どうも様子が違うな、と思っていたら、話は銃撃戦とはまるで縁のない方向に進んでいく。砂漠の街道沿いに湧き水を発見し一儲けするために休憩所を建てる。通りすがりの牧師と町の嫌われ者の娼婦らとのんびりした平和な時間が流れる。無数の敵に囲まれそれをバンバン撃ちまくることもないし、一対一の緊迫した決闘もない。むしろコミカルである。それでも随所にペキンパーらしい男臭さを感じさせてくれる。今観ると派手さはないし話は単純だしなんとも安っぽい画なんだけど、こんなにも面白いのはなぜなんだろう。こういうのを観たかったんだよ俺は。