いやー、行ってきましたよキッチン南海。食ってきましたよカツカレー。

思ったより店内は広くて、ゆったりしていて意外だった。僕の南海のイメージはどうしたって早稲田の南海なのでしょうがないところだろう。早稲田のはほんとに狭くて、その中にテーブル席まであって、カウンターに座ると通路がほとんどなくなってしまうから、そこを通るひとに気を使いながら食べなきゃならないくらいなのだ。でまあチラッとメニューを確認してからかねてより所望していたカツカレーをお姉さんに注文する。店には他に6人くらいの客がいたんだけど、大体みんなカツカレーかひらめフライを注文していたようだった。僕の知ってる南海でひらめフライを食すことのできる店は他に無いし、今度いつまた神保町にくるかもわからなかったから、単品でひらめフライも頼んじまおうかとよっぽど思ったが、やっぱりよしといた。僕はそれほど量を食える胃を持っていないのだ。無理すればカツカレーにひらめフライくらいはいけるだろうが、調子に乗って食いすぎ、やや気持ち悪し、なんてことにはなりたくない。またの楽しみということにしておく。案の定、でてきたカツカレーはなかなかのボリュームで、知らずに頼んでたら驚きそうな一品だ。ルーは聞いていた通り、黒い。底の薄い大皿の大部分をその黒いルーの海が占領し、皿の三分の一程度の面積に白飯、千切りキャベツ、カツが盛られている。起床してから5時間何も食べていなかったという空腹状態であったのだけど、食べ終わる頃にはきっちり満腹だった。こりゃ運動もしてない僕のような人間が食ったらすぐ太るね。独特の後味のせいかボリュームのせいか、やはり胃がもたれた。店には、想像していたような頑固なおやじも働き者のおばさんもいなくて、皆そこそこ若いようで、あれっと思ったが、「ごちそうさま」と云ったら気持ちのいい返事と笑顔を返してくれて少し嬉しくなった。


pm6:00。神保町キッチン南海の前には並んでいる人の姿が見える。辺りには揚げ物とカレーのなんとも香しい匂いが漂い、通りを歩く人の足を暫し止める。